世界が直面している「コロナ危機」は喫緊の課題として様々な対策が打ち出されています。しかし、同時に気候危機が人類最大の危機であることも忘れてはいけません。強力な台風やハリケーン、水害が毎年数を増し、記録的な森林火災や干ばつ、熱波や豪雪、海の酸性化、それらによる農作物の収穫減や漁獲減、気候難民の発生など、地球温暖化による気候危機の脅威はすでに現実化しています。
パンデミックのリスクは、専門家が警鐘を鳴らしていたにも関わらず無視されてきました。この失敗を繰り返してはいけません。気候危機についても、長年多くの科学者が、このままでは温暖化自体がさらなる温暖化の原因となる不可逆的悪循環が始まると警告してきました。それは、人類がどんな対策を施しても温度上昇を止められなくなる状態です。この最悪の悪循環を回避するために残されている時間はほとんどなく、人類の命運を左右するのはここ数年間だと言われています。今後10年のうちに温室効果ガスの排出を劇的に減らすために、あらゆるセクターが協調して化石燃料に依存した社会経済構造を迅速に変える必要があります。
気候危機をもたらしている最大の原因は、化石燃料を燃焼することで発生する温室効果ガスです。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候崩壊を免れ持続的な地球環境を守るためには、世界の平均気温を、パリ協定の努力目標である産業革命前比1.5℃以下に抑えることが必要だと報告しています。そのためには、最も多く温室効果ガスを排出する石炭火力発電所は世界で1基たりとも新設できず、日本を含むOECD諸国は2030年までに、それ以外の国は2040年までに全廃する必要があります。
日本の3メガバンク(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行)は、石炭火力発電開発企業に対する融資額で世界1位から3位を占めるとともに、現在もインドネシアのチレボン2石炭火力発電事業など多くの建設中の案件に融資を続け、気候危機の加速に大きく関わっています。各行は、石炭に関わる投融資抑制方針を発表していますが、その方針はパリ協定との整合性がなく、欧米の銀行の方針と比べても大きく見劣りします。しかも方針には大きな抜け穴が存在し、「石炭火力輸出」として国際的な批判を浴びているベトナムのブンアン2石炭火力発電所への融資も例外規定を適用して押し進めてしまうのか、それとも投融資抑制方針に則り、融資はしないという判断をするのか、方針の真価が問われています。
ブンアン2石炭火力発電所建設は、大気汚染による現地住民の健康や生計手段を脅かすことで問題視されているばかりか、建設されると、ベトナムを何十年にも亘って二酸化炭素の高排出にロックインし、クリーンエネルギー導入の足かせにもなります。ベトナムも含めて世界の多くの地域で石炭と比べて太陽光や風力発電が価格競争力を持ち、石炭は座礁資産化リスクを抱えるため、多くの投資家が撤退しています。世界では既にブンアン2事業から撤退した大手銀行もあり、3メガバンクの判断に注目が集まっています。
3メガバンクの株主総会を直前に控えた今、皆さんの署名で各行の気候対策の強化を求めましょう。
私たちの意志を3メガバンクに伝えるために、ぜひこの署名に賛同して下さい。
締切:2020年6月22日(月)午前9時
連絡先:国際環境NGO 350.org Japan [email protected]
〒169-0075 新宿区高田馬場1-28-10 バンフォーレ三慶ビル4階
宛先:
三菱UFJフィナンシャルグループ 取締役 代表執行役社長 グループCEO 亀澤 宏規 様
みずほフィナンシャルグループ 取締役 執行役社長 グループCEO 坂井 辰史 様
三井住友フィナンシャルグループ 取締役 執行役社長 グループCEO 太田 純 様